ネガティヴ・ゼリー ポジティヴ・プリン 天貫勇


つまらなく終わった24四時間は

昨日になってしまって、さっきまでの今日

そしてすぐに、またも1日は始まる


(終わってしまった)

(つまらなさを忘れて)(そいつはつまらなさを知らない)

(始まってしまった)

理解できない


ゼロにゼロを積み重ねて(0+0)

ゼロにゼロを掛け合わせて(0×0)


ネガティヴ・ゼリー

ポジティヴ・プリン


時間はたぷたぷと前進する(後退はできない)

僕は静止した時間の僕を抜け出す

サナギからサナギが出るように

蝶はサナギから出て、羽根で時間を溶かす


マンションの階段から誰かの足音がする

遠ざかっているような

近づいているような

登って来るのか、降りて来るのか

距離は残像に埋め尽くされて

反響する足音は僕の居場所を探す

ベッドの上で丸くなり、目をグッときつくつぶる

磁場を狂わせてコンパスは定まらなくなる


夜空には月がある

(今が夜だとするのならば)

空には雲も星もなく

空もない

昼間の太陽の残骸が薄暗いガスとなって

大気の層に重くのしかかる


あるのは月だけ


青く打ちつけられた月光

どこかのサングラスをかけた若者たちが浴びて

血管を通過し、血液がバイブレーションする妄想に

紫色の影が染み込んで

存在するためのスペースしか残っていない

地面に立つ



ネガティヴ・ゼリー ポジティヴ・プリン 天貫勇