Friday No.7(9) ぼくの命令に従って貴様ら全員平和を叫べ。


甘い匂いがした。
うん、
たしかに甘い匂いがしたんだ。ぼくの部屋はそれで充満した。
5月はじめのあたたかく。夜。強い雨が降っていて、ひとりでに肌が蒸し暑い。行き場の知らないのが溜まっている。
射精してからその匂いに気づいたんだけど、精子がそんな甘いわけがない。
ビビットに透き通る紫に咲いた、ツツジの花を摘んで。ひっくり返して根元を口につける。一度だけ『ツッ』っと吸いつく。
いや、
ドクターペッパーみたいな人工的な甘さだったかもしれない。
もしくは、
黒い悪魔のような猫が持って来た、孤独な主張だったかもしれない。
どれほどにも甘くて、静かに耐え抜く指令を脳に出すように訴える。
きっとこれは新しい匂いだ。


p.s...
25歳を超えてから寝ションベンを垂らしたことありますか?


『今日』にトマッテくださり、
ありがとうございます。
またね。
天貫 勇
Friday No.7(9)